リセット®の自己回帰ポイント

子どもは「頭から立って」いき、歳をとっていくと「足から死んでいく」っていうんですね。
 
赤ちゃんはほとんど眠っている状態から、目で動くものを追うようになり(頭が立った)、首が座り(首が立った)、手が使えるようになり(肩まで立った)、寝返りができるようになり(背骨が立った)、お座りができるようになり(腰まで立った)、ハイハイができるようになり(膝まで立った)、そして足で立ち上がると、人間の二足歩行の始まりです。
 
めでたく歳を重ねて自然に死んでいくときは、足が弱って杖をつき、腰まで弱ると車いすになり、背骨が死のプロセスに入ると寝たきりになり、最後に目を閉じて亡くなります。私たちが現実と呼んでいるこの世界に、頭から入ってきて、足から抜けていくという現象です。
 
赤ちゃんは教えなくても、自分から立ち上がろうとします。何度も何度も尻もちついても、めげることも無く、唯々天から引っ張られるように立ち上がろうとします。義務感や競争意識で立とうとする子なんていないので、トライすることをストレスに感じて落ち込むこともありません。
 
そしてついに二本足で立ったあの瞬間というのは、喜びに溢れています。嬉しいんですね。「たったー!」って、自分でパチパチパチって拍手もしちゃうくらい。

しなやかな中心軸。自律神経は完璧にバランスして、内受容感覚もマックスに働いて、自己肯定感と生きる喜びと活力が身体の奥から溢れてかえってくる状態。
 
リセット®「自律運動による自己回帰法」で回帰するポイントは、この瞬間です。
 
いつも使っているパソコンで言うと、不要になったデータやソフトで容量がいっぱいになって、動きが重くなる、遅くなる、しまいにはバグってフリーズするなどと状態が、私たちの心と体にも起こっているわけです。そんな時はリセット(初期化)することで、本来のパフォーマンスを戻すことができますね。
 
自分の足で大地を踏みしめて、「たったー!パチパチパチ…」という、自分では覚えてはいないけれど、確かにあった、歓喜と可能性に満ち満ちたあの瞬間に、自分自身をリセット®してみましょう。

顔が変化する意味

二つの顔写真をご覧ください。
リセット®のセッション1回(40分)の前後に自撮りしてもらった写真です。

 

この日Fさんは、ご自身の心と体のメンテナンスのためにリセット®のワークショップに参加しました。
効果の程は、写真でごらんの通り。

この効果に、ご本人が喜ばれたことはもちろんですが、ここで注目してもらいたいのはこの二つの顔を見たときの
”あなたの内側”に起こる感覚です。

 

リセット®前後の2つの顔写真を目にしたとき、あなたは何を感じますか?

会社や病院の受付に、それぞれの表情をした女性が2人並んでいたとしたら、あなたはどちらに話しかけたいと思うでしょうか?-その理由は?

 

ワークショップで同じ質問をすると、99%以上の人が、リセット® 後の写真を指差します。理由は「やさしそうだから」「親切に受け答えしてくれそうだから」といったところ。

 

ちなみにリセット®前の写真を選んだ1%以下の人は、心理支援などのお仕事をされている方で、理由は「大変そうだから、声を掛けてあげなくちゃと思ったから」だそうです。

 

このように自然な笑顔には、人を安心させ、「つながりたい」と思わせる力があります。

ところが、これが意識的に作った営業用スマイルなら、そうはいきません。口は笑っているけど、目が笑ってない人を見て「なにかあやしい」「こわい」と感じた経験が、あなたにもあるかもしれませんね。

 

ふだん、目には見えないと思っている人間の内側の生理学的な状態(=自律神経の状態)は、実は常に顔の表情や声のトーンにはっきりと顕れています。

 

もし、向こうからやって来たイヌが、顔にシワを寄せ、目を剥き、ウゥ~っと低い声で唸っているとしたら、誰でも危険を感じるでしょう。この犬は「怒っている」「噛みつくかもしれない」と推測できるからです。

 

人間社会では、感情をそこまで露骨に表す人はおおくありませんが、もう少しマイルドな形で、人間同士もこれと同じことをしています。

私たち人間(哺乳類)は、互いの身を守って生き残るために、目の前にいる相手の表情や声の微妙な変化から生理学的な状態を正確に読み取り、瞬時に安全か危険かを判断する感覚(センス)を、生まれつき持っているのです。

 

面白いことに、結婚詐欺の被害に遭った方々のお話しを聴くと、必ずといって良い程「実は、第一印象で “あやしい” と思ったんです!」と仰います。
それなら、始めから付き合わなければよいのにと思うのですが、そこはやはり恐るべしプロのテクニック。初対面で感じた身体の感覚を、上手い話や身なりで打ち消して、信じ込ませてしまうようです。

 

マインド(頭/思考)優先になっていると、身体(神経系)が脳に送って来る情報「感覚」を無視しがちになります。
これが、詐欺被害に限らず、身体とのつながりが切れて頭でっかちになった現代人が起こしやすい問題の一つでしょう。

 

私たちは本来、無意識のうちに「相手の内側の状態」をちゃんと見抜くことのできる脳の仕組みと神経系の機能を持っています。

あなたの表情がこれほど変わったら、あなたの周りには自然と人が集まってくるようになるでしょう。誰でも、信頼できるほんものの笑顔が大好きだからです。

ストレスの正体は?

「ストレスにどう対応するか?」と、「人生をどう生きるか?」の問いへの答えは、同じところに行きつく。
私たちの人生は、それほどストレスに満ちていると言えるのでしょう。

ただし覚えておくべきは「ストレス=出来事」ではないということ。
私たちのQOL(人生の質) は、”人生に起こる出来事”自体ではなく、それに対して”どう反応するか”によって左右されるのです。 


ストレスへの対応には、大きく分けて3つのモードがあります。逃げるか戦うか、凍り付いて引きこもるか、それとも人間らしく共感し、理解し合い、協力して危機を乗り越えてゆくか。

 

ストレスは現代病か?

私たちの祖先は太古の昔、大きな頭をトップに載せて二足歩行するようになりました。大脳を発達させる代償に、捕食獣から逃げ切れるほど速くは走れなくなりました。戦うための鋭い牙や大きな爪も、厳しい寒さから身を守ってくれる毛皮も持たず、日々死に直結するような過酷なストレスに晒されながら、逃げ、戦い、仲間とつながり、助け合うことで今日までの進化を遂げてきました。


けれども急速に発達するテクノロジーに比べ、生物の進化には長い時間を要します。研究者らは、私たちの脳や神経システムの働きは200万年前とほとんど変わっていないと言っており、それは、現代に生きる私たちがストレスを感じるとき、体内では大昔の祖先たちと同じ反応が起きているということを意味している訳です。

 

ストレス反応を起こしている身体には、いったい何が起こっているのでしょうか?

 

環境から受け取った刺激を、私たちの脳・神経系が「危険」と判断すると、交感神経が興奮し、体内ではコルチゾールやアドレナリンといったストレスホルモンがさかんに分泌され、心臓は速く激しく鼓動して、血液を大量に送り出します。

全身の筋肉は緊張し、抹消血管は収縮するため、血圧が急激に上がります。感覚は外側からの刺激に敏感になり、心肺活動はさらに激しくなります。

 

こうした交感神経の興奮から生まれる動態化のエネルギーは、大昔の祖先にとっては、獣から全速力で走って逃げたり、獲物を追い狩猟するために必要でした。

 

ただ、そんな莫大なエネルギーを現代人が本来の目的通りに使うことは稀です。パワハラ上司を相手に棍棒を振り回して戦ったり、脱兎のごとく走って逃げ去ったりすることは、できないからです。


 脳と神経系が安心して「安全」のキューを出さない限り、この交感神経の興奮は続きます。

ベッドに入ってもなかなか眠りに着けなかったり、眠ったつもりでも睡眠の質が低下していたりして、いつも寝不足。疲労回復や成長が妨げられ、疲労困憊した私たちの身体、脳・神経系は、治癒・回復に向かういとまもない状態です。

 

排せつリズムも乱れて腸内環境が悪化します。消化器系の誤作動でニセの食欲が出てきたり、脳疲労によって夜中に甘いものや刺激物が無性に欲しくなったりと、食生活の乱れが脂質・糖質異常を引き起こします。

 

自律神経のバランスが乱れた状態が慢性化すると、ストレスホルモンが分泌され続けて平常時にも心拍数・血圧を押し上げます。心臓には大きな負担がかかり、血管はボロボロになっていきます。

このように戦い/逃げるためのエネルギーは、行き場の無いまま、自らの身体を内側から壊していきます。これがキラーストレスと呼ばれるものの正体。多くの疾病の元となり、現代人を死に至らせるメカニズムです。





トラウマケアとしてのリセット®

◎安全に便利にセルフケアできる

リセット®は簡単な講習ですぐに身に付けられ、日常生活の中でいつでも自由にセルフケアできるようになります。特別な道具も要らず、いつでもどこでも使え、誰にでもすぐに効き目が実感できるため、使う人をエンパワーして、セルフケアを続けやすくするという特徴があります。

*治療中の方、重篤な症状のある方は、それぞれの専門医か専門のバックグラウンドを持つセラピストの指導の下で始めてください。

人がトラウウマを負ったとき、ほとんど何も安全だとは感じられません。患者が「安全」を感じないかぎり、治療の進歩を遂げるのは非常に難しいことです。私たちはセラピストとして、彼らが安全を感じるのを助けたいと思っていますが、患者にとってその唯一の場所が「あなた」ならば、患者はあなたに依存し始めます。だからこそ彼らにセルフケアのためのツールを提供することが重要なのです。

(ピーターレヴァイン) 

 

◎ 心の不調を抱える人の孤立化を防ぎます

心や身体の状態のレベルを問わず利用でき、ほとんどの方がグループで一緒に行うことができます。ご高齢者や孤立しやすい状況にある人も、集まり、つながることで、うつや引きこもりを予防します。

“ 健康のために必要なのは、他者とのつながり ”

(スティーブン・ポージェス)



◎ 思い出さなくていい、話さなくていい

リセット®では、トラウマの原因を探ることも、思い出す必要もありません。呼吸と動きを通して身体に直接働きかけることで自律神経を整え心を平和にします。お話しをしにくい子どもや高齢者もセラピストが創出する安全な環境の中で安心して一緒に楽しく取り組めます。

トラウマ治療は身体に働きかける必要があります。それ以外にあらゆる症状の大元に取り組む方法はありません。ほとんどの治療法は、トラウマついて話し理解しようとすることで解決を試みていますが、トラウマについて話すことは、その記憶をよみがえらせ解離を引き起こす可能性があります。その代わりに私たちは最初にトラウマの影響を受けた身体に直接働きかけます。

(パット・オグデン「トラウマと身体」の著者)


 

◎ 副作用や依存性がないから安心

リセット®は、私たちが元々持っている自然な回復・治癒の力を活性化する方法です。特別な道具や薬も使わずケガや副作用の心配がありません。痛みの軽減や気分の良さを持続しやすくなるため、手間と時間のかかる減薬プロセスにも役立ちます。

多くの場合、医師はトラウマの問題を認識しないので、子どもはドーパミンシステムを阻止するための抗精神病薬による治療を受けます。ドーパミンシステムは私たちを興奮させますが、それによって私たちは意欲を持ち、物事に関心を持ち、情熱的に物事に取り組むことができます。子どものドーパミンシステムをブロックすると、これらの能力を遮断してしまうため、長期間使用した子どもが社会的に機能し、魅力的で意欲を持った献身的な成人になる可能性は非常に低くなります。これらの子供たちのトラウマに薬物を伴わない自己制御法(セルフコントロール)を用いて対応しない限り、大きな障害を抱える大人になるでしょう。

(ベッセル・バン・デル・コルク)


◎ 侵襲性が無く再トラウマを生まない

リセット®は、心にも体にも負担をかけず、人それぞれに適したやさしいアプローチで私たちが元々持っている自然な自己治癒・回復の力で素早く統合させます。心や身体への侵襲性が無いため、子どもからお年寄りまであらゆる場面で安心して使用でき、記憶や感覚を掘り起こさず、安全にストレス・トラウマの反応を解除します。

トラウマの治療は、精神医学の分野でも扱いの厄介なものとされてきたところがあります。一方で下記にあるような感情表出型のセラピーは専ら70年代のニューエイジ思想や自己開発セミナーから派生した類のもので、自分自身が表現する感情が刺激となって再トラウマを誘発したり、闘争・逃走反応が強化されて、ストレスやトラウマのループから抜け出せなくなる人も少なくありません。

古いタイプの感情表出型セラピーでは、「あなたは怒っています。怒りを出しなさい、それを手放しなさい、枕をたたいて、母親に向かって叫んで!」と怒りを表出させることを強調していました。私はエサレンでこれをやっている人々をみましたが、彼らは6ヶ月後には戻ってきて全く同じことをするでしょう。セラピーの中では、アドレナリン、カテコールアミン、エンドルフィン等を体中に溢れさせます。気持ちは良いはずですし、直後の脱力感からは「素晴らしいリリース」をしたと感じ、グループの繋がりも感じるでしょう。けれども感情は変わりませんでした。それを何度も繰り返してもトラウマが消えることはないのです。

(ピーターレヴァイン)


トラウマに関する研究は時代と共に変化し続けています。

トラウマを抱える人々を、治療の目的である健やかさへと安全に素早く導くリセット®は、トラウマ治療における最新の研究成果によって裏打ちされた全く新しい療法です。

恐怖を感じていた体の部分で安全を感じられるようになったら、あなたは自由です。トラウマはもうおしまい。消え去ったのです!

(ベッセル・バン・デル・コルク)


事業内容

「安全が治療」  スティーブン・ポージェス(ポリヴェーガル理論提唱者)

トラウマ治療と聞くと、なんだか「怖い」イメージを持っている人もいらっしゃるでしょう。逆に、安心・安全な治療法と聞くと「効果が低い」と思う人もいるようです。
 
日本では大規模災害の経験を通してトラウマやPTSDついて知られるようになりました。
その治療法として、暴露療法(PE) や認知行動療法(CBT)等について聞かれたこともあるかも知れません。

これらの治療法は、トラウマの記憶を繰り返し想起し、セラピストの助けを借りながら見方を変えて語り直すことで、トラウマの原因となった体験・エピソードの記憶をリフレーミング(意味や認識の仕方を書き換える)する

あるいは、トラウマ体験を思い出したり、危険を感じたりする(客観的には安全な)状況、場所、物、言葉などに意図的に対面して慣れていくことで、日常生活の支障となるような極端な回避行動や非適応的な行動を修正するというものです。

このように従来のトラウマの治療では、トラウマの記憶を繰り返し想起することや似通った状況を再体験するプロセスが不可欠です。
 
どんなトラウマも、当事者にとって「生命の危機」を感じる経験であることに変わりなく、その記憶に触れることは、たとえそれが治療であっても非常に辛いものになり得ます。
 
中でも親からの虐待やDV、性的暴力、紛争・戦争、人為的災害等、あまりにも理不尽で不条理な状況が原因となっているケースでは、「リフレーミング」も「慣れる」ことも困難を極め、治療は長引きます。

その上困ったことに深刻なトラウマほど、その肝心な記憶が無いか、治療自体がトリガーとなり、断片的な記憶が次々と現れてコントロールできなくなる、つまりフラッシュバックやパニックが起きるリスクを否めず、熟練したセラピストの指導下でさえ、セラピーを受ける度に症状が悪化するケースも起きていました。

トラウマは、次のトラウマを生み出します。
当事者の治療による再トラウマに加え、そこに深くかかわる治療者や家族、状況によっては周囲の人々にも深い傷を負わせることがあります。

90年代、その頃最先端と言われていたアメリカで心理学を学んだ私は、この状況を変える方法を求めて、人智学(R/シュタイナー)、薬草や異文化の伝統治療、スピリチュアル・ヒーリング等の世界にその答えを探していました。

そんな月日を越えて出逢ったポージェス博士の冒頭の言葉は、「トラウマ」の定義を変え、「トラウマ治療」をこれまでとは全く違うものへと変化させるだろうという希望を与えてくれたのです。

実際に『ポリヴェーガル理論』は、これまで目に見えない個々の経験として心理学的に捉えてきたストレスやトラウマを、神経システムの働きとして生理学的に捉え直すことによって、これまでの「トラウマ治療」に非常に大きなパラダイムシフトを起こしました。
 

リセット®は、このポージェス博士の『ポリヴェーガル理論』を基盤に成り立つ、新しいメソッドです。

トラウマの治療に用いるときにも、その記憶には一切触れることなく、呼吸と穏やかな動きによって自律神経を穏やかに整え、『安心・安全な、いま、ここ』に滞在する時間を増やしていくように働きます。

 
あなたが『安心・安全な、いま、ここ』にいるとき、あなたの身体のどこにもトラウマは存在していません。


たとえ何かをきっかけにトラウマを受けた際の記憶が浮上してきたとしても、それに対して自律神経が「防衛反応」を起こさず、自分で「安全な今ここ」に戻ってくることができるようになれば、トラウマ治療は完了です。


トラウマは、もう “一生消えない心の傷” ではなくなりました。

 
リセット®が、トラウマに縛られる日々から、より自由な生き方へとシフトし、これからの人生を存分に生きて行くきっかけとなれば幸いです。